2025.09.26従業員の健康がすべての土台:健康経営とは何か?

近年、「健康経営」という言葉をよく耳にします。皆さんは健康経営とは何かご存知でしょうか?健康経営とは簡単に言えば、企業が従業員の健康を大切にし、それを経営の重要な柱として考えることです。従業員が健康でなければ、そもそも十分に仕事で活躍することはできませんよね。企業にとっても、社員が元気に働けることが生産性の向上や業績アップにつながります。つまり、健康はすべての活動のベース(土台)であり、社員の健康を守ることが企業の発展にも直結するのです。

この記事では、健康経営の基本的な考え方と重要性、そして私自身の体験を交えながら、企業として具体的にどんな取り組みができるかをわかりやすく解説します。健康経営をこれから始めようと考えている方、興味をお持ちの方はぜひ参考にしてみてください。

健康経営とは?その基本理念とメリット

健康経営とは、企業が従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践することを指します。政府による正式な定義では「従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践すること」とされています。企業理念に基づいて従業員への健康投資(時間や費用をかけて健康づくりを支援すること)を行うことで、従業員の活力や生産性が向上し、組織が活性化します。結果的に業績や企業価値の向上につながることが期待されているのです

言い換えると、社員の健康づくりは企業にとって「コスト」ではなく将来への「投資」と捉えます。健康な社員が増えれば仕事の効率が上がり医療費も削減できるため、企業に様々なメリットが生まれます。社員の心身の健康維持と企業の利益追求を両立させることで、従業員の生活の質が向上し企業の活力も高まるため、経営者と従業員がWin-Winの関係を実現できると言われています。つまり健康経営は、企業と社員の双方にとってプラスになる経営手法なのです。

また、ここでいう「健康」には身体の健康だけでなくメンタルヘルス(心の健康)も含まれます。世界保健機関(WHO)の定義でも「健康とは肉体的にも精神的にも社会的にも満たされた状態」とされています。社員が心身ともに健康であることが、仕事で最大限の力を発揮する土台になります。例えば十分な睡眠や適度な運動、ストレスケアができていないと、どんなにスキルがあっても本来のパフォーマンスは出せません。健康経営は社員の心と体の両面の健康を支えることで、企業全体の生産性向上や組織力強化を目指すものなのです。

政府もこの健康経営を重要な取り組みと位置づけており、企業の健康経営度を評価する「健康経営優良法人認定制度」などを設けて推進しています。大企業から中小企業まで、業種を問わず多くの企業が社員の健康増進を経営課題として積極的に取り組み始めています。では、なぜそこまで健康経営が注目されるのでしょうか?次に、私自身の体験を交えながら健康の大切さについて考えてみます。

痛感した「健康がすべての土台」:私の体験談

実は私自身、あるとき体調を崩してしばらく会社を休んだ経験があります。普段は健康に自信があったのですが、ある病気で入院・療養が必要になり、会社を長期間空けざるを得なくなりました。すると案の定、私が抜けた穴を埋めるために周囲の同僚たちに大きな負担をかけてしまいました。プロジェクトの進行が遅れたり、他の社員が私の仕事をカバーするために残業が増えたりと、職場のみんなに迷惑をかけてしまったのです。私はそれが本当に申し訳なく、心苦しく感じました。

さらに、家に帰れば家族がとても心配して悲しんでいる姿がありました。私が病気になったことで家族にも精神的な負担をかけ、「早く良くなってほしい」と気遣わせてしまったのです。自分一人が倒れることで、職場にも家庭にもこんなにも迷惑や心配をかけてしまうのだと、その時に初めて深く実感しました。

この経験を通じて痛感したのは、「やっぱり健康がすべての土台なんだ」というシンプルな真実です。自分が健康であってこそ、周りに貢献できるし、家族も安心してくれるのです。裏を返せば、健康を損ねてしまうと自分自身が辛いだけでなく、会社の業務にも支障が出て同僚に負担がのしかかり、家族や大切な人たちを悲しませることになってしまいます。

実際、社員の健康状態は企業経営に大きな影響を及ぼします。例えば社員が長期休職すると企業に大きな経済的損失が発生することがデータでも示されています。内閣府の試算によれば、年収600万円の社員が6か月間休職した場合に企業が負担するコストは約422万円にも上るそうです。同僚の残業代や代替要員の人件費、生産性の低下などを合算すると、半年で給与の70%以上に相当する損失になるとの報告です。社員一人が抜けるだけでそれほどの経済的ダメージが発生し、さらにチームの士気低下や顧客対応への影響など見えない損失も大きくなります。このように社員の健康管理をおろそかにすると、企業全体にも大きなリスクとなって返ってくるのです。

私自身の休職経験とこうしたデータの両方から、改めて「社員の健康あってこその会社」ということを強く感じました。健康でいることがまず第一。健康だからこそ仕事で力を発揮でき、周囲に貢献できて、自分自身も充実感を得られるのです。当たり前のようですが、忙しい毎日ではつい忘れがちなこの基本を再認識するきっかけとなりました。

企業ができる健康経営の取り組み例

では、企業として従業員の健康を守るために具体的に何ができるでしょうか。まず大前提として意識したいのは、従業員のその先にはご家族や大切な人々がいるということです。社員一人ひとりの背後には支えてくれる家族やパートナー、ご両親などがいらっしゃいます。企業側はそのことを十分に理解し、社員とその家族の立場に立って健康を真剣に考える必要があります。実際、近年は多くの企業が「社員およびその家族の健康が大切」という理念を掲げています。例えば大手企業エディオンでは、「従業員とその家族が心身ともに健康であることが企業の持続的成長の原動力である」と明言し、従業員と家族の健康維持増進を経営課題の一つに位置づけています。このように社員本人だけでなくその家族も含めた健康支援を考えることが、会社の長期的な繁栄につながるのです。

では具体的に、社員の健康を守るために企業が取り組めることをいくつか見てみましょう。重要なのは、社員が日常の中で健康増進しやすい環境や制度を整えてあげることです。例えば次のような施策があります。

  • 社内で健康的な食事を提供する: 社員食堂(社食)を充実させて栄養バランスの良いメニューを提供したり、オフィスにヘルシーな軽食やフルーツを常備するなど、社員が手軽に健康的な食事をとれる環境を作ります。食事は健康の基本ですから、ランチで野菜たっぷりの定食やカロリー表示のあるメニューを用意すれば、社員も自分の健康に配慮しやすくなります。実際、社員食堂を健康経営に活かしている企業も多く、栄養バランスを考えたメニューの提供やカロリー表示によって社員の健康意識向上に役立てている事例があります(※)。

  • 運動やフィットネスの機会を提供する: デスクワーク中心の社員は運動不足になりがちです。そこで業務後や休憩時間に運動しやすい環境を整えます。具体的には、社内にジムやフィットネスルームを設置して社員が自由に使えるようにしたり、近隣のスポーツジムと法人契約を結んで社員が割引価格で利用できるようにする、といった方法があります。あるIT企業では勤務時間中にヨガクラスに参加できるようにしたところ、社員のリフレッシュになり好評だったそうです(※)。運動する習慣は生活習慣病の予防にも効果的ですし、適度に体を動かすことで仕事の集中力アップやストレス解消にもつながります。

  • 定期的な健康チェックとサポート: 年に一度の定期健康診断を確実に受診させるのはもちろん、その後のフォローも大切です。健康診断で要再検査となった社員に再検査を促したり、産業医や保健師による健康相談の窓口を設けたりします。メンタルヘルス対策としては、ストレスチェックを実施して結果をフィードバックし、高ストレス者への面談やカウンセリング体制を整えることが有効です。必要に応じて外部のEAP(従業員支援プログラム)サービスを利用し、社員が気軽にメンタル相談できるようにする企業も増えています。さらに、有給休暇を取りやすい雰囲気づくりや、リフレッシュ休暇制度の導入など休み方の改善も健康維持には重要です。働きすぎによる疲労やストレスを防ぎ、オンオフのメリハリをつけることで、結果的に仕事の質も向上します。

以上のような取り組みを組み合わせて実践することで、社員の健康リテラシー(健康に関する知識や意識)も高まっていきます。ポイントは、経営層自らが健康づくりに関心を持ち支援する姿勢を示すことです。トップが本気で取り組めば社員も安心して健康活動に参加できますし、社内に「健康を大事にする文化」が根づいていきます。また、社員の家族にも健康診断の補助を出す企業もあります。例えば先ほどのエディオンでは、従業員本人だけでなく扶養家族の人間ドック受診にも補助金を出しています。このように家族ぐるみで健康増進をサポートする会社も出てきており、社員にとっては「自分の会社はここまでしてくれるんだ」という安心感や忠誠心アップにもつながるでしょう。

(※事例出典:社員食堂や運動プログラムに関する企業の健康経営事例については、各社の公式サイトや自治体の健康経営事例集などで多数紹介されています。例えば、ジョンソン・エンド・ジョンソン日本法人では社内にジムを設置し社員の健康増進を図る先進的な取り組みを行っています。また、ある食品メーカーでは管理栄養士監修のメニューを社員食堂で提供し生活習慣病予防に成果を上げています。)

まとめ:健康経営は社員も会社もハッピーにする

健康経営は「社員の健康があってこそ会社の成長がある」という当たり前だけれど重要な考え方です。私自身の体験からも、健康でいることが仕事にも家庭にも良い影響を与えると実感しました。企業が率先して社員の健康を支援することで、社員は安心して能力を発揮でき、会社への信頼や愛着も高まります。結果として生産性の向上や離職率の低下、企業イメージの向上といった形で会社にも大きなメリットが返ってきます。

これから健康経営を始めようという企業の皆さんは、ぜひできることから少しずつ取り組んでみてください。特別に大きな投資をしなくても、例えば社内のルールを見直して有給休暇を取りやすくしたり、朝礼で健康に関するワンポイントアドバイスを共有したりと、工夫できることはたくさんあります。大切なのは「社員は会社の大切な財産(人財)であり、健康はその基本」という意識を経営者含め社内全体で共有することです。

健康経営に取り組む企業を国も後押ししており、優良な取り組みを行う会社は「健康経営優良法人」として認定される制度もあります。社員の健康づくりに本気で取り組む姿勢は、社内外からの評価にもつながり、採用活動や企業ブランド力向上にもプラスに働くでしょう。何より、社員がいきいきと健康に働ける会社は、きっと明るい未来を築ける会社です。健康経営を通じて、社員も会社もハッピーになれる職場づくりを目指してみませんか?


出典(参考サイト)

  • 健康経営(経済産業省)、https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/kenko_keiei.html

  • 健康経営とは(日本の人事部)、https://jinjibu.jp/kenko/lecture/

  • 健康経営への取り組み(エディオン)、https://www.edion.co.jp/corporate/health-management

  • なぜメンタル休職する若手が増えたのか…(PRESIDENT Online)、https://president.jp/articles/-/81558

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